こんにちは、青山通信です。
今回は「意外と知らない豆知識」シリーズ第3弾です。
第3弾は、「法律上の”善意”と”悪意”の意味」です。
皆様こんにちは。 弁護士の吉川です。
「善意」と「悪意」の意味は?
と聞かれると、皆さんはどのような説明を思い浮かべるでしょうか。
「善意」と聞くと、よい行いをすることが思い浮かぶのではないでしょうか。
他方、「悪意」と聞くと、相手を陥れようとするなど相手に対して害を加えようとすることが思い浮かぶのではないでしょうか。
このように日常生活でも「善意」・「悪意」という言葉は使いますが、実は法律用語としての「善意」・「悪意」は日常生活での一般的意味の「善意」・「悪意」とは意味が違います。
今回は、この意味の違いを説明いたします。
1 法律用語としての「善意」
法律用語としての「善意」とは、ある事実を知らないこと、又は信じたことをいいます。知らないことと読むか、信じたことと読むかは条文によって異なります。
民法94条1項 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2項 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
この場合、「相手方と通じて行った虚偽の意思表示は無効となるが(同条1項)、虚偽の意思表示の合意であることを知らない第三者に対しては無効を主張できない。」と読むことになります。
例えば、Aさんが自分の不動産を本当に売却するつもりはないのにBさんと通じてBさんに売却したことにして登記を移転した場合、虚偽表示にあたり、AB間の売買契約は無効となります。
しかし、AB間の売買契約が虚偽表示だと知らないCさんがBさんから不動産を購入した場合、Cさんは善意の第三者に当たるため、AさんはCさんに対して当該不動産の所有権を主張できないことになります。
2 法律用語としての「悪意」
他方、法律用語としての「悪意」とは、知っていること、又は信じていなかったことをいいます。
民法703条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
民法704条 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
この場合、704条では、「法律上の原因がないことを知りながら、他人の財産又は労務によって利益を受けて他人に損失を及ぼした者」と読むことになります。
例えば、自分に受領する権利のない金銭を受領してしまった場合、本来受領すべき者に返還しなければならないのですが、自分に受領権限がないことを知りながら(悪意)受領していた者は、ただ返還するだけでなく利息を付けて返還しなけれならないということになります。
3 まとめ
法律用語としての「善意」と「悪意」をご理解いただけたでしょうか。
このように日常生活で使う言葉であっても、法律用語としては全く違う意味として使われていることがあるので(また、同じ言葉でも法律によって定義が違うこともあります。)、法律を確認する際には、法律用語の意味に気を付けて条文を読む必要があります。。