皆様、こんにちは。
今回の青山通信は、「恐喝」と「脅迫」の違いに関する情報をお届けします。
こんにちは、弁護士の増子です。
さて、今回は、「恐喝」と「脅迫」の違いについて説明します。
まず、2つの刑法の規定についてみてみましょう。
刑法第222条(脅迫罪)
「① 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
② 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫し(中略)た者も、前項と同様とする。」
刑法第249条(恐喝罪)
「① 人を恐喝して財産を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
② 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」
これだけではわかりませんね。「脅迫」「恐喝」のそれぞれの意味について詳しくみてみましょう。
「脅迫」とは、「生命、身体、自由、名誉または財産に対して害悪を告知すること」をいいます。「殺すぞ」「殴るぞ」「ネットで裸の写真をばらまくぞ」「一生ここから出さないからな」など、相手に恐怖を与える言動がこれに当たります。
これに対して、「恐喝」とは、「相手を脅迫して畏怖させて財産を交付させること」をいいます。すなわち、「脅迫行為+財産交付の要求」が恐喝になるのです。
上記の例でいいますと、「明日までに30万円持ってこないと殺すぞ」「殴られたくなければ、明日までに10万円用意しろ」「50万円で写真を買い取ってくれたら、ネットにはあげないでやる」などが恐喝行為に当たります。
したがって、いわゆる「カツアゲ」は恐喝行為に当たるのがわかりますね。みかじめ料の要求なども恐喝行為にあたります。
つまり、端的にいえば、脅迫罪と恐喝罪の違いは、「財産交付要求の有無」ということになります。
では、仮に、恐喝したものの、お金を受け取る前に逮捕されてしまった場合、これは脅迫罪になるのでしょうか?
答えは否です。この場合は、「恐喝未遂罪」になります。実際に金員を受領していなくても、「お金をよこせ」と交付要求した時点で、恐喝行為を行ったことになります。あとは、実際にお金を受け取ったら「既遂犯」となり、お金を受け取れなかったら「未遂犯」というように分類されます。
「脅迫」と「恐喝」、似ているようで刑罰は結構違います。正しく理解しましょう。