皆様、こんにちは。
今回の青山通信も、相続法改正に関する連続講座をお送りします。
第11回のテーマは「配偶者短期居住権」です。
皆様こんにちは。
弁護士の上遠野です。
今回は、被相続人の死亡により残された配偶者の居住権を保護するための方策として、新設された制度のうち、短期の居住権についてご紹介します。
<ケース>
Aの夫Bが死亡。相続人は配偶者のA、子のC、Dの3名。亡B名義の自宅不動産(土地、建物)があり、AはBと自宅で生活していた。C、Dはそれぞれ県外の別の場所で生活している。遺産は、Aが居住している不動産が主要部分を占めている。Aが当該不動産を相続する場合、他の相続人であるC、Dに代償金を支払うことが必要になるが、Aにはその資金を用意できない。
この場合に、配偶者短期居住権が認められるか?
配偶者短期居住権とは、生存配偶者が相続開始時に無償で居住していた建物に、一定の短い期間、無償で居住する権利である。
<配偶者短期居住権の要件>
①被相続人の財産に属していた建物に
②相続開始時に
③無償で
④居住していた
→上記要件を満たす場合に、配偶者短期居住権が認められる。
<配偶者短期居住権の効果>
①分割による建物の帰属が確定した日、又は、相続開始から6か月が経過する日の、いずれか遅い日までの間、無償で建物に居住することができる。
②被相続人が、生前、生存配偶者の配偶者短期居住権を認めない意思を表示していたとしても、生存配偶者には、短期居住権が認められることにより、明渡しの期間が猶予されることになる。
③生存配偶者には、善管注意義務が課され、居住権の譲渡、他の相続人の承諾なしに第三者を居住させることは禁止される。
④配偶者短期居住権は、第三者に対する対抗力はない。